ページをめくって
ウトウトしていたら、和馬が布団に入ってきて後ろから抱き締めてきたから、和馬の手の甲に私の手のひらを重ねた。

「起こしちゃった?」

「ううん、まだちゃんと寝てなかった」

「このままこうして寝てもいい?」

「うん」

和馬は少し腕の位置を変えて抱き締め直した。

「こうしてると眠れそう」

「眠れないことなんてあるの?」

「あるよ、いろいろ考えちゃって。でも本当はちゃんと寝た方がいいと思うんだ」

これで眠れるなら、私も和馬の役に立てて嬉しい。

「私なんかでよければ、いつでもどうぞ」

「ハルじゃなきゃダメなんだよ。こうするのは他の人がいい、なんておかしいでしょ」

そう言われて、和馬が知らない誰かを抱き締める姿が一瞬頭をかすめて、胸が苦しくなった。

「ヤキモチ妬いた?」

「……うん」

和馬はククッと笑って腕に力を入れた。

「嬉し過ぎるよ。もっと嫉妬してほしい」

「私、和馬のことが好き過ぎて気が狂いそう」

私が胸の内を告げると、和馬は一瞬間をおいて溜息をついた。

「僕はもう狂ってるよ」

そう言って私の髪に顔を埋めた。

しばらくそのままじっとしていたら、思い出したように和馬が口を開いた。
< 512 / 522 >

この作品をシェア

pagetop