極上笑顔の上司

・一緒にいたいんです


**



「だから、とりあえず、
 一緒にいたんだけど・・・ダメ?」

「え?な、何言ってるんですか
 海人・・部長。」


そうだよね。何言ってるって感じだよね。
と思って思わず苦笑。



週明け、月曜日。
会社が始まる前に
僕は綾菜を見つけた。

会社の前の自動販売機の前。
そういえば、紅茶が好きだっけ。

がちゃん、とドリンクを買ったらしい彼女が
しゃがんで
振り返ったところ、僕と目があった。

にこり、と笑うと
綾菜は小さな声で「おはようございます」と返す。

綾菜に「少し、いい?」と聞いて
言葉を紡ぐ。
僕なりの答えだ。


で、冒頭のコメントに戻る。


目の前には
ちょっと びっくりして
赤くなっている綾菜。


「うん。
 だからね、
 君のいう「価値観」とか「特別」とか正直よくわからないんだよね。
 だから、とりあえず
 一緒にいたいんだ。」

「・・・っ。あ・・・」

綾菜が何か言いかけて、
ちょっと困ったように笑う。

「・・あの。部長・・・?
 どういったことでしょう。」
「うん。だからね。
 とりあえず、僕は一緒にいたいんだ。
 ダメでしょうか?僕が隣にいると、迷惑?」

にっこり、と 笑ってみる。

「めっ、迷惑とかじゃなくて・・・その。
 独占したくなるので・・・困ります。」

っ! ほほを赤く染めて 恥ずかしがる彼女を見て、
なんだか、胸が熱くなる。

あれ?なんか、こっちが恥ずかしくなる・・・?

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