極上笑顔の上司



その後の小話






「あ、や、な さーーーん♪」

「・・・・っ。
 利理ちゃん・・・。」
「疲れていますねぇ?
 だってぇ、あんな 会社の前で ぎゅーってして
 ちゅーってするから悪いんですよぉ?」
「いや、だって、
 あれは、部長が・・・」

「まぁ、海人部長も大人げないですよねぇ。
 でも、大通りじゃないだけよかったじゃないですか!
 見てたのは会社の人だけですよ!
 よっ!玉の輿!!なぁんて。」

利理ちゃんは 楽しそうに 笑う。
笑い事じゃない。

そうよね。
会社の前でぎゅーしてちゅーってしてたら
そりゃぁ、見られるし、からかわれるよね

もぉぉおおおっ。
海人部長のばかぁっ


一日中、みんなに、からかわれちゃった。

もう。
なんか、いろいろ恥ずかしすぎる~~。



「綾菜さん。今日、飲みに・・・
 は、週初めからはキツイんで、ごはん、しますぅ?」
「いいねー。利理ちゃん。
 あそこは、あのピザのお店―ー。」

「でも、そこはワインの種類、少ないんだよなぁ」
「うん。でも今日は飲まないし。」
「そうですよねぇ。
 明日も早いですからねぇ。新作の・・会議?」


ん?


くるり、と振り返ると
「か、海人部長!!」
「お疲れ様 綾菜。 あ、加藤さんも。」
「ついで感半端ないですねぇ。そこが、海人部長のいいところだと思いますぅ 
 やっと、綾菜さんを好きだと自覚したんですかぁ?」

にこにこ、っと利理ちゃんが笑う。

「ちょっと、利理ちゃんっ。」
「じゃぁ、私は邪魔になるんで帰りますねぇ。
 二人で、ごゆっくりデートしてくださいね?」
「ちょ、利理ちゃんっ。
 そんな、気を使って・・・」
「やだ、綾菜さん。
 恥ずかしぃからって、逃げちゃぁ解決しませんし
 自分の気持ち、わかってるんですよね?」

にっこり、とまた利理ちゃんが笑う。

かぁっと顔が赤くなる。
なんか、
私だけが意識しているみたいでちょっと 恥ずかしい。

海人部長がふんわりと笑って
利理ちゃんに話しかけた。



「なんで?
 兄さんもよんだよ?」

海人部長はもうすでに、スマホを片手に約束を取り付けたらしい。

ん?兄さんって・・・


「か、海人ぶちょぉっ!!」
「ふふ。加藤さん、
 恥ずかしいからって、逃げてちゃ解決しないんでしょ?」


実は、あの営業部の無表情鬼上司、呉羽部長の
恋人が 利理ちゃんで
もう、呉羽部長は利理ちゃんに、メロメロ。なーんてことを
海人部長の腕の中で
聞くことになろうこととは、

そんなことはつゆ知らず
綾菜は、海人に手を手を引かれて連れ出されるのでした。



「綾菜。一緒に、いこう?」

そして、彼は極上の笑顔を浮かべたのでした。

おしまい。



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