春河家は今日もドタバタです。

「ほ~、よしよし(笑)」

祇儀は、酷紫蝶たちで遊び始めた。
手に乗せたり、頭にリボンみたいにしてみたり・・・

「はいっ!玉すだれ~!!」

蝶を一列にして“玉すだれ”のようにしてみたり・・・
その光景に、禮漸と弦龍は思わず戦いの手を止めてしまう。さらに、その光景を見ていた緑涼たちは開いた口がふさがらず、清澄は結界を張り続けながら頭を抱える。

「びっくりした?」

祇儀は、驚きを隠せない虎黎に対して、屈託の無い笑顔でそう話す。


「ぁぁぁぁあああっ!!本当にむかつく!!」


虎黎はそう言葉をぶつけると、胸元に隠していた小刀を出して祇儀に襲い掛かる。清澄も深波も弦九朗も思わず武器を持って阻止にかかるのだが・・・


「はい、捕まえた(笑)」


小刀を持った右手を左手で強く握りながら後方へと引っ張る。それと同時に右手を腰元まで回してぎゅっと自分に引き寄せて抱きしめた。

「ぁ・・・ぁ・・・ぁ・・・あんた!!な、何すんのよ!!離しなさいよ!!」
「てめぇ!!俺の弟に何すんだよ!!!」


弦龍の標的が、禮漸から祇儀へと変わる。直前まで戦ってボルテージが上がっている所に、この状況に遭遇したことでさらに怒りが増し、頂点に達していた。その状況に何かを察した清澄。すかさず深波と弦九朗に合図を出す。


「何って・・・見てのとおり“確保”ですけど(笑)」
「てめぇ・・・ぶっ殺してやる!!」


弦龍が血まみれの刀の矛先を祇儀に向けて歩き始めた瞬間のことだった。

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