Special to me

帰りの車の中では、

「ねぇ、晃樹って、一時期私との"差"に悩んでいたことがあったでしょ？今日の曽我さんの話を聞く限りは、曽我さんたちの方が"差"が凄いような気がしたんだけど、どうしてジュン兄から話を聞く前に、曽我さんに相談しなかったの？」

『知らなかったんだよ、今日の話。奥さんが検事だったってことも真子と一緒に知った。あの2人、結婚式をしていないし、新婚旅行も行ってないからね。気が付いたら、いつの間にか結婚していたって感じだった。だって、知り合ったきっかけがナンパだってことだけ聞かされていたから、どう考えたって検事という職業には結びつかないだろ？』
「確かに」

ナンパに引っかかる女性って、いろいろな職業の人がいるだろうけど・・・いくらなんでも、検事さんってことは、確率としてはゼロに近い。

でもそんな奇跡を起こした曽我さん。

『一夜限りがズルズル5年になった理由って、真子には分かる？』
「え？千尋さんの夢を傍らで応援しようと思ったから？」
『そんな綺麗な理由じゃないよ』

晃樹は"フフッ"と笑った。