Special to me
☆苗字が変わったら・・・~side MAKO~
北海道から帰ってきて最初の出勤。

私はいつものように元気よく、

「おはようございまーす!」

と言って秘書室のフロアに入る。

すると、向かいのフロアの人事部にいる恵美加が突然やってきた。

「あ、恵美加おはよう。ちょうど良かった。おみやげあげる、はい」

私はおみやげの有名ラーメン店のインスタントのものを差し出した。

『それよりも、私に出さなきゃならないものがあるんじゃなくて?奥様』

口調はご立腹だけど、おみやげはしっかり受け取ってくれたから、それほど怒ってはいないかな。
でも、何で怒られるんだろ?

「あの、私、何か怒られるようなことしました?」
『アンタ、会社に"結婚届"を出してないでしょ。それが未提出のまま、銀行に名義変更の手続きしちゃっていると、次の給料が名義相違で振込できなくなるよ』

銀行の手続きは、時間がなくてまだやっていない。

「まだ、入籍と住民票の変更と、車の免許くらいしかやってないよ」
『あと、今はいいけど税金の支払に支障が出るの。あなたは既に"米原"さんだからね』

そう言うと、私の耳元で恵美加は囁いた。
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