Special to me
『その問いに"はい"と答えるのに、僕にはもう少し時間が必要です』
「え?」

意外な晃樹の一言だった。

『なら、娘とのビジョンが明確ではない中、君は娘を連れ回していたってことかな?』
「連れ回すだなんて、そこに私の意思は存在しないわけ?ひどいよお父さん」

私は晃樹の意外な一言に戸惑いながらもお父さんに反論した。

『いいんだ。そう思われても仕方がない』
『初対面なのに、何かここに来ることが乗り気じゃなさそうに見えるよね、晃樹くん』

お母さんが晃樹のことをそう言って見つめた。

「さっきまで仕事をしていたから、疲れているんだよ。大晦日から元旦にかけては最終電車はいつもより遅いし、始発はいつもより早いから、仮眠できる時間も少ないの」

私は晃樹のために劣勢な状況を打破しようと擁護した。

しかし、そんな私の言葉・・・晃樹には響かなかった。

『真子さんに自分がふさわしいかどうか、正直、迷っています。ですので、もっと、僕は自分を磨く時間が必要だと考えています』
『では、真子を連れ回すのは、今後その自分磨きを終えるまでは、ご遠慮願いたい』

お父さんは冷たく言い放った。
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