大事に、したいのに。
一週間前。

「…は?」

俺はありえないシチュエーションに目を丸くした。

学校の下駄箱。

俺の靴入れ。

可愛い封筒。

…なんだこれは。

「…あ、」

そういえば前、先輩から手紙で呼び出しされた事あったな。

ビビって行ったら

「アタシらのチーム入らん?アンタみたいな見た目からして強そうな看板欲しいんよ?」

とか言われた。

なんか化粧がやけに怖い女子数人に囲まれて、暴走族みたいなのに入らされかけた気がする。

あれは怖かった。

丁重にお断り…というか、しょうがないから少し睨んで帰って頂いたんだが。

あれ以降

「不良の女集団を無言で黙らせた中3」

なんて、余計変な噂が立つようになったんだからな。

一年前の事とはいえ、高1になった今でも遠巻きにその話をされていることがある。

どうしてくれるんだよ。

くっそ。

…いや、今はそんな話じゃなかったな。

手もとの封筒に目を落とす。

ファンシーな封筒。

元々可愛い色に、これまた可愛げなシールが貼ってある。

差出人の名前は書いてない。

宛先は「高本壮真くんへ」。

つまり俺。

字も見事に小さくて丸っこい女子文字。

だから、どういうことだ。コレは。
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