引き立て役よさようなら(番外編追加)
車を走らせること2時間。
祖母の家に到着すると優花は玄関を開けた。
「ばーちゃん!いる?おじさーん?おばさーん。優花だよ」
優花の後ろで達央はただ突っ立いた。
「あれ?畑かな?」
そう言って振り返ると
「ね・・・鍵…かかってないの?」
優花の一連の動きを見て達央は何かに驚いていた
「鍵?」
達央は頷いた。
「だってガラガラ~っていきなり戸が開くし・・・誰もいないし・・」
それを不思議と思った達央に対して優花は何だか笑えた。
「ここ田舎だしね・・・ちょっとそこまでって距離なら特にばあちゃんは鍵とか
ほとんど掛けないよ。都会じゃ考えられないけどね・・・そういうとこのも私は好きなんだ」
「いいところだね・・・」
優花は頷くと達央にここで待ってもらうことにした。

優花はぐるっと家の裏へと走り祖母の姿を探した。
よく見ると畑にちょこんと腰をおろしている祖母を発見。
「ばーちゃーん!ゆうかだよ~~~」
大きな声で叫ぶと顔だけ上げた祖母が優花をみてびっくりしているのがわかった。
優花は祖母のいる場所まで近づく。
「どうしたの?ゆーちゃん。なーんも連絡もしないで・・・」
「ごめんごめん。3日間お休み貰ってね。旅行がてら寄ったの」
「そうか・・・一人かい?」
優花は首を横に振ると少し恥ずかしそうに達央のいる方を指さした。
「ばあちゃんに会いたいって人がいるの・・・」
間違ってない。ばあちゃんに会いたい人だ。
祖母は起き上がると
ゆっくりと達央のいる方へと歩き出した。
祖母は腰が曲がっているため歩くのはゆっくりだ。
優花はその後ろをゆっくりとついていった。
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