引き立て役よさようなら(番外編追加)
夜とは随分違う景色に達央は別の感動を味わっていた。
「絵に描いた様な景色だね。」
「でしょ?視界が全て緑なんて都会じゃ考えられない。」
優花は背伸びをすると大きく息を吸った。
「ん~~~っ。この空気ともまたしばらくさよならだな・・」
ぼそっとつぶやいた。
「また来ような。」
「うん」
二人はこの景色を目に焼き付けてこの場所にさよならした。

空港へと向う車中
「この旅行が終わるとまたしばらく忙しくなるんだ。
新曲のリリースもあるし、全国ツアーもね。
でもさ・・・それが終わったら少し休みを取るつもりなんだ」
「休み?」
優花の顔がパッと明るくなる。
「優花、顔にですぎ。」
「あっ!ごめんなさい。うれしくって・・・」

「それでさ・・・その休みの間・・・一緒に暮さないか?」

運手している達央の方に身体ごと向けた。
「一緒に?!」
達央は前を向いたまま口角を上げた。
「ダメ?」
「だ・・だめ・・じゃないけど・・・大丈夫?」
「何が?」
きっとこの人は自分が芸能人と言うことをわかっちゃいないと
優花は少し呆れぎみに見つめた。
「私の方が警戒心強いのかな?」
優花の言葉で何を心配しているのかが分かった様だった。
でも達央はそんな心配はいらないっって顔で優花を見た。

「前にも言ったけど俺らみたいなバンドを狙う週刊誌なんて
いないと思うよ。でもさ・・・万が一そうなったとしても
俺は逃げも隠れもしないし、優花の事を隠すつもりはないよ。
優花の事真剣だから・・・俺」

あまりにも呑気な達央をみてると何だか心配しているのも
どうでもよくなってしまった。


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全国ツアーのリハーサルが都内のスタジオで始まった。
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