引き立て役よさようなら(番外編追加)
時折見せる優花の寂しそうな顔を見ていた果絵だが
敢えて言葉にはしなかった。
2人の事は2人にしかわからないのだから・・・

少しずつ列が動き出した。
会場が目の前まできてチケットをスタッフに差し出し受けと取った時だった。
「優香さん」
優花を呼ぶ声が聞こえきょろきょろする。
スタッフの少し後ろのスペースに一人の女性が立っていた。
「あっ!」
それは初めて見たライブの後、優花を楽屋まで連れってってくれた人だった。
「フフッ。憶えててくれたんだありがとう。私、唯って言うのよろしくね」
「あっ・・はい。ところで・・・どうしたんですか?」
唯はニコッと笑うと
「ちょ~~っとチケット見せてほしいんだけど」
訳がわからないままチケットを差し出すと
それをじーっと見てすぐに返した。
「ありがとう~~。今日は楽しんでってね」
そして唯はstaff onlyと書かれた場所へと消えてった。
今のやり取りを無言で見ていた果絵は興味津々だ。
「ね~~あの美人誰よ」
「誰って・・・多分ツアースタッフじゃないかな・・・」
果絵は唯の後ろ姿を黙って見ていた。
しかし、なんでチケットを確認したのだろう・・・
疑問に思いながらも優花たちは自分たちの席へと歩き出した。
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