引き立て役よさようなら(番外編追加)

達央の決心?!

「達央さん!」
掴まれた手が少し痛くて少しだけ口調が強くなる。
優花の言葉にハッとした達央は少しだけ握った手を緩めた。
だがその表情は外が暗くて優花にはわからなかった。

車の前にいるのになぜかドアを開ける気配がない。
どうしたのかと優花は首を傾け声を掛けた。
だが、達央からの返事はなく優花もそれ以上何も聞かず、繋がれている手を
じっと見つめていた。

「・・・・俺・・・何気に逃げてたのかな・・・」
「え?」
優花に背中を見せたまま達央は言葉を続けた。
「今回の事、正直軽く考えていたんだ。果絵ちゃんには悪いと思ってたけど
直接優花には被害がないし・・って・・・数日おとなしくしてりゃ~
人の噂なんてってさ・・・。だけどそれってよくよく考えてたら
結構無責任だよな。ばれなきゃ何でもいいみたいなさ・・・」
「達央さん・・・」
「だけどさ、さっきあの外科医に言われてハッとしたよ。
俺のやってる事ってただの逃げなんだよな。いい大人が情けないわ・・・」
達央は自虐的な笑いを漏らした。
達央が今どんな顔をしているのかわからない。
でも今は顔を見ないでほしいって思いが背中から伝わって来るようだった。

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