引き立て役よさようなら(番外編追加)
スタジオ内にギターの音と達央のヴォーカル音がひろがる。
通常アレンジはこのデモを基に作りあげられる。
そこから基本になるリズムやテンポなどの話し合いをしながら
ひとつの曲が完成する。

「ちょ・・ちょっと1曲目からすごいね・・てかさ・・歌詞
 がいいよ。うんうん・・・いいよ!」
興奮気味の尚也の横で足でリズムを取る翔が目を瞑ったまま口角だけ
あげて曲に聞き入っていた。
みんなの感想を聞きながら達央は補足を入れる。
いつも通りと言えばそうなるのだが
「へ~~これが達なりのけじめのつけ方なんだ・・・」
京介が歌詞の書いてある紙を感慨深げに見つめならが呟いた。
尚也も頷きながら
「達らしいやり方だよね・・・でもこんなどストレートに書いちゃって
 大丈夫?取材とかでいろいろと聞かれてもおかしくないくらいの
べたなラブソングなんじゃね?」

今まで書いた事のないべたなラブソングを書いた。
この歌を聞けばそれが一人の人に向けた歌だと言う事はすぐわかる。
アルバムをリリースするとなるといろんな音楽雑誌やTVなどで取り上げられ
インタビューも増える。
そうなると必ず曲についての感想や説明をお願いされる。
そういう事を想定して敢えて作った曲だった。
自分なりのやり方でちゃんとけじめをつける
それが達央の考えた結論だった。
ただ、一人では出来ない。
メンバーの協力がなければ曲は完成しない。
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