引き立て役よさようなら(番外編追加)
果絵が自分の事の様に喜んでくれるのがとてもうれしかった。
優花はバッグから1枚の封筒を果絵に差し出した。

「これは?」

差し出された封筒の中身を見て果絵の顔が一瞬で明るくなった。
「ええ!これ・・いいの?」
明るいを通り越して興奮状態だった。
それはライブチケットだった。
今回のアルバムリリースを記念してアルバム発売日に
ファン限定のライブを行う事になっていたのだ。
会場が小さいため、今回のチケットはflybyのラジオのリスナー
限定でかなりのプレミアだ。
ネットオークションで1枚が数万円で取引されてると噂されているほどだった。
そんなライブの招待券を果絵は優花から受け取ったんだから
興奮しないわけがなかった。
「私が貰っても・・本当にいいの?」
果絵の手が微かに震えているのが優花にもわかった。
「これは、私からじゃなくて達央さんから・・・」
「やだ~~達から?どうしよう!!」
まだ興奮が冷めない様子の果絵に優花は微笑んだ。
「実はね・・・この日に達央さん、ファンの前で私の事をちゃんと話すって
 言ってるの」
「え?!それって・・・・大丈夫なの?」
数ヶ月前の事を思いだせば心配するのも無理はない。
だけど果絵は優花の顔を見てその心配は無用だとわかった。
あの時、果絵が達央の彼女だと間違った報道された時自分が写真を
撮られた訳ではないのに泣きそうな顔をしていた優花の顔とは
全く違っていたからだ。
「会わずに2人で乗り越えた成果が出てんじゃん」
「・・・私もそう思う」
「で?優花はこのライブの当日どうすんの?」
優花は少し恥ずかしそうに下唇を軽く噛むと
「今回は客席からじゃなくステージの袖で見学させてもらうの。
 前回断ったことで喧嘩になったでしょ。だから今回は
 素直になってみました。」

達央と出会う前の優花からこんな将来が待っていたとは
誰が思っていたのだろう。
合コンではいつも自ら引き立て役に徹して、どこか自分自身に
諦めすらか感じていた優花が、運命の出会いでここまで自分に自信を
もてる女性に成長するとは思ってもいなかった。
達央の存在が彼女をここまで変えた。

「優花、本当にきれいになったね。」
優花がうれしそうにほほ笑む姿に果絵は心の底から
優花が美しくなったと感じた。 
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