引き立て役よさようなら(番外編追加)
曲が中盤を迎えた頃横田が現れた。
「前のツアーからかな~リハの時のサウンドチェックの時には
 大概この曲を歌ってるんだよ・・・そんなに長い曲でもないから
歌いやすいのと・・・特別な歌だからだと思うけどね・・・
しかし優花ちゃんに気付く気配全くないな~」
「本当だ」
川久保君も同じ事を思っていたようだったがその顔が急に
いたずらっ子の様な顔になったかと思うと。
「気付かせてやろうぜ!」と言いだした。
「ダメだよ!今リハやってんでしょ?川久保君ダメだよ変な事考えたら」
優花は慌てて暴走しそうな川久保を止めようとしたが、川久保は優花の耳元に唇を寄せ
「多分これだけで達さんこっちに気付くはずだって」
とニヤリと笑って優花から離れた。
何が何だかよくわからず川久保に向って首をかしげていると
さっきまで聞こえていた歌がいつの間にか止まっていて
ステージをみると達央が優花たちを指さし、マイクをしっかり握り
「お前たち何やってんの?彼女から離れなさい!」
達央がこっちを睨みつけていた。
川久保は笑いながら
「本当にあの人ってわかりやす~~」
腹を抱えて笑う川久保に横田は苦笑い
「浩太~~頼むわ。達のテンションさげんなって・・・」
「いいの!このくらい!そうじゃなくても俺の初恋の人を
 奪われたんだから!」
ぼそっと本音を言う川久保にさすがの横田も優花の
何も言えなかった。
「お前本当はそれがしたくて来たんじゃないだろな?」
「・・・さあね」
川久保はニヤリと笑った。

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