引き立て役よさようなら(番外編追加)
「はい!できました」
優花は鏡に映る、出来上がった自分の顔を食い入るように見つめていた。
「人って変わるもんですね・・」
まるで他人事のように話す優花に唯は声出して笑った。
「そうよ~私の手にかかればこんなもんよ!さてお次は・・・達?!優花ちゃんとチェーンジ!」
いつの間にか着替えが済んだ達央が唯に呼ばれて来た。
「達央さんごめんね・・忙しいのに私・・・」
顔を見られるのが少し恥ずかしくて下を向いていると達央が顔を覗きこんできた。
「せっかく唯に綺麗にしてもらってんだからみんなに見せびらかしてやんな・・・」
達央はそのまま優花がさっきまで座っていたイスに腰を下ろした。

達央と鏡越しに目が合う。
「男のメイクなんか見るもんじゃねーよ」
少し照れた達央の顔が何だかかわいくて優花は達央の言葉を無視するかのように
ずっと鏡越しの達央を見つめていた。


「会場満員だぞ!」
横田が控室に顔を出した。
時計は開場から30分程経過していた。
スタッフは忙しく走り回りみんなの空気も変わってきた。
メンバーも緊張を隠せないようでしゃがんだり
ストレッチをしたり、それぞれが緊張と戦っている様だった。
優花は邪魔にならないように通路でその時を待っていた。
達央はスタッフや横田と何やら話をしていて話しかける雰囲気ではなかった。
落ち着かない優花はみんなから少し離れた場所に移動し、しゃがんでいた。
今日のライブが成功してほしい。
祈る様に両手を顔に近づけていた。
「おーい!なにやってんの?」
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