引き立て役よさようなら(番外編追加)
エレベーターが開くと二人は乗り込んだ。

「式も当分出来そうにないし、新婚旅行もまだ先になりそうって事で
 事務所からの結婚祝いみたいなもの・・・らしいよ。俺もライブが始まる
ちょっと前によこっちから聞いたからね。
婚姻届も俺の意思でだけど後押してくれたのはよこっちだったから・・・
今思えばあいつらの計画にいい感じで乗せられたってことかな?」

高層階で止まったエレベーターを降りると目の前に大きなドアがあった。
慣れた手つきでカードキーをさしてドアを開けると優花を先に部屋へ入れた。

「うゎ~・・・す・・すごい」
そこは白とブラウンを基調にしたモダンな家具、
2人でも余ってしまうほどの大きなベッドにテーブルやイス・・・
多分、達央と出会えなければこんな部屋に泊まる事は一生なかったと思うと
これが夢ではないかと錯覚してしまいそうだった。

「気に入ってくれた?」
後ろから抱きしめられ耳元で囁く声に身体が跳ねる。
「気に入ったって・・・こんな素敵な部屋に不満を訴える人が
世の中にいるとは思えないんだけど・・・」
達央は優花の頭に顎をのせると
「ん~~。優花の場合は、『こんな部屋もったいない。達央さんの部屋で十分ですよ!』な~んて言いそうな気がして」
優花の喋り方を真似しながら話す達央に優花は、そんな言い方しないよ!と
達央のするものまねを否定したが
「そっかな~俺自信あったのに。『達央さ~ん好き』・・似てない?」
「似てない」
スイートルームに似合わない会話に二人とも何だかおかしくなって
笑いだした。
達央は優花を後ろから抱きしめたまま、前へと歩き突き当りまで移動する。
東京の夜景を一望できる大きな窓ガラスに二人の姿が反射する。
高層階から見える夜景は都会ならではのきらびやかのもので空に輝く星よりも
輝いていた。
でも優花にはそれよりも窓ガラスに反射する自分たちの姿が目に止まっていた。
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