引き立て役よさようなら(番外編追加)

ライブの後は・・・

それからもライブは続き20曲ほどで終わった。
メンバーがステージから離れても客席からは彼らをもう一度みたいという思いが
拍手に込められていた。
どのくらい手拍子が続いただろう。
ステージがすっと明るくなりメンバーが再びステージに現れる。
彼らの姿が見えた途端、さっきの手拍子は大歓声へと変わった。
そして・・・
「今日は本当にありがとう。みんな疲れてない?」
客席からは疲れてないと言う声があちらこちらで聞こえてくる。
それに答えるかのように達央が手を上げてガッツポーズをしながら
曲の準備を始めている。
ベースの尚也がマイクスタンドの前に立つ。
「今から歌う曲は、えーっと新曲です」
再び客席から歓声が上がる。
「しかも!できたてほやほやってかんじだね」
メンバー全員が頷く。
「珍しくラブソングです」
今度は女の子たちの歓声が響く。
達央がマイクスタンドの前に立つ
「守りたいもの・・・」
そう言うとドラムのカウントと共に演奏が始まった。
アップテンポな曲だけど歌詞の内容はまるで達央が
優花を思うキモチを歌っている様だった。
ステージから離れた場所にいるにもかかわらず
優花を探し、優花の方を見つめながら、優花のために歌っている様だった。
うぬぼれでもいい、そうあってほしいと思いながら優花は達央の歌を聞いていた。
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