おにぎり屋本舗 うらら
 


間もなく上映が始まった。


うららはすぐにストーリーにのめり込む。


それは、高校生の爽やかな純愛物語。


ラストは男の子が病気で亡くなってしまうという、悲恋だった。



悲しくも美しい別れのシーンに、うららは号泣する。


会場内の若い女性達も、みな涙を流していた。



そんな状況で、小泉は寝ていた。



昨夜の帰りは深夜2時。


寝不足に慣れている彼でも、暗い場所で興味のない物を見せられれば、睡魔に襲われる。



始まって数分で眠りに入り、映画が終わり辺りが明るくなっても、

深い眠りから浮上できずにいた。



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