レッスンはアフターで
「何でこんなところなんだ?」


順一が聞くが、無視して寺の裏手にある庵に向かった。


“友膳”


小さな看板を目にした順一の女が、声をあげた。


「うわぁ、こんな場所にお店?」


それも無視して、入り口の扉を開けた。


「お待ちしておりました。いらっしゃい、拓斗とお友だちの皆様」


ニコリと笑う女店主。名前は、……忘れた。


カウンターしかない小さな店。四人並んで座れば、残すは3席のみ。


「座れよ」


順一達を真ん中に、俺と女が挟む。


日本酒で乾杯したあと、出される割烹料理に舌鼓を打つ。


「なぁ、この人とどういう関係?」


順一が聞くが、笑みを返しただけで教えてやらない。今日は、俺の順一への軽い復讐も兼ねている。


俺と女を巻き込んだこと、後悔させてやる。


「あら、内緒よ。聞かないで」


頬を染めた女店主は見なかったことにしよう。


「ふーん。これ、何の意味があるの?」

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