幸せの花が咲く町で
「香織さん、これからも良かったらいつでも遊びに来てよね!
皆でたまにはこんな風にごはん食べようよ。」

「あ、ありがとうございます……」

そう言って、篠宮さんは瞳を伏せた。
迷惑だということではないと思うけど……でも、なにかひっかかるものを感じた



「優一、どうかしたの?
ぼーっとして……」

「え…いや、別に……
あ、なっちゃん、僕、篠宮さんに花の活け方を教えてもらうことになったんだ。」

「へぇ、それは良いね。」

「私、お教え出来る程のものじゃないんですが……」

「ううん、確かに香織さんが活けてくれた花は良い感じだよ。
なんていうのかな…すごく癒されるっていうか……」

やはり、なっちゃんも僕と同じようなことを感じていたようだ。



「本当はなっちゃんが習うべきなんだけどね。」

「私は投げ入れ流の家元だから、いいの!」



ちょっと作り過ぎたかな?と思ってた料理は、気が付けばすべてなくなっていた。



食事が済んでも、僕達の他愛ない会話はなかなか止まらず……
篠宮さんが帰ったのは、9時を少しまわった頃だった。
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