幸せの花が咲く町で




「ただいま~!」

「おかえり~!」



山野さんが帰ったというメールをもらってから、僕達はスーパーに寄って買い物をしてから家に戻った。
なっちゃんは、妙に機嫌が良さそうで、いつもより弾んだ様子で小太郎を出迎えた。



「今日、どうだった?」

「どうって、何が?」

「いや、だから、山野さん……」

「特になんてことなかったよ。
拝んでもらって、それから少し話をしただけ。
でも、大変だよね。
突然、知らない所に住んで農業するなんて……山野さんもいろいろと不安みたいだよ。
あ、全然関係ないけど、来週からちょっと忙しくなるから、家のことや小太郎のこと、よろしくね。」

「忙しいって……今よりも忙しくなるの?」

「うん、まぁ、ちょっとの間だけど……」

「そう、わかった。
でも、無理はしないでね。」



それからのなっちゃんは、毎日のように帰りが遅くなった。
いつもより少しだけ遅い日もあれば、0時を回っても帰って来ない日もあった。
本人は至って元気で生き生きしてるから、心配はないと思いつつも、それでも少し心配だった。






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