幸せの花が咲く町で




(あっ!!)



あの人が店から出て来たのは、もう帰ろうかと思い始めた頃だった。
やっぱり、あの車はあの男性のもので、しかも同行者は夏美さんだった。
予想は出来ていたことなので、それほどの驚きはなかった。
でも、二人は本当に親しげな雰囲気で、ゆっくりと駐車場に歩いて来て、車に乗り込もうとした時、あろうことか男性が夏美さんの肩に手を置いて、そして、二人の唇は重なった。
まるで、映画のワンシーンのような濃厚なキスシーン……
それを見ていると、私の中にはめらめらと怒りが沸き立って……



酷い……酷過ぎる!
堤さんや小太郎ちゃんを騙して……こんなことをするなんて……
怒りで身体が震えるのを感じた。
私は頭に血が上り過ぎて、自分の感情がコントロールできない程に高ぶっていて……



「な、夏美さん!」



私は二人に近付き、夏美さんの名を呼んでいた。



「か、香織さん!」

「夏美さん……酷い!!」

静かな駐車場に乾いた音が響いた。
私は……自分でも気づかないうちに、夏美さんの頬を思いっきり叩いていた。



「き、君!なにをするんだ!」

男性が、夏美さんの前に立ちはだかり私を睨みつける。



「夏美さん…ど、どうしてこんなことを……!」

私はあまりにも気持ちが昂り過ぎて押さえが利かなくなり、涙がぽろぽろこぼれて来て、それが止まらなくなって……
その場にしゃがみこんで、わぁわぁ泣いてしまって、それから……



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