幸せの花が咲く町で
「ごめんね、勝手なことばかり並べたくって。
でも、優一があんたのことを想ってるのは間違いない。
だけど、今の優一は自信をなくしてるから、自分から告白するのは無理だと思う。
だから、香織さんにお願いしたいんだ。
何とかあの子を説得して、付き合ってやってほしい。
……あれ?説得して付き合うって、なんか変だね?」

「夏美さん、でも、本当に良いんですか?
私、堤さんよりずいぶん年上だし……」

「そういえば、香織さんっていくつなの?」

「……え……あの……37です。」

「えっ!じゃあ、私と一つしか変わらないじゃない!」

「じゃあ、夏美さん、36なんですか?」

もっとお若いと思ってたのでびっくりした。
夏美さんの驚きは、残念ながら私とは反対の驚きみたいだけど……



「なんだ、じゃあ、5つしか変わらないじゃない。
そんなの全然平気だよ。
そういえば、仕入れもやってみたいって言ってくれたのは、やっぱり優一のためだよね?」

「さしでがましいことをすみません。
私に出来るかどうかはわかりませんが、少しでもお役に立てればと思って……」

「本当にありがとう。助かるよ。
あの子もすぐにはあれこれ出来ないと思うけど、そのうちきっと出来るようになると思う。
元々は何でもできる子なんだよ、努力家だしね。」

「で、でも、年のこと以外にもまだいろいろと……」

「そんなことは一切関係ないよ。
あんたが優一のことを想ってくれてることだけで十分だから。
あの子も頑固なところがあるし、一筋縄ではいかないかもしれないけど……
どうか、お願いします。
香織さんしか、あの子のことを託せる人はいないんだ。」

夏美さんは私の両手を握りしめ、深く頭を下げられた。
私に本当にそんなことが出来るだろうか?
そもそも、本当に堤さんが私のことを想って下さってるのだろうか……?
自信なんて全くないけど、でも、私が少しでも堤さんの支えになれるのなら……



(やるしかない……
どんな結果になろうとも、やるしかないわ!)



そんな情熱が自分の中からわきあがっていくことに、自分のことながら不思議な気がした。
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