幸せの花が咲く町で




「やっぱり、雰囲気変わったね。」

「落ち着いたいい感じになったよね。」

次の日、僕達は、買って来たカーテンや寝具を掛け替えた。
それだけでも部屋の雰囲気はずいぶん変わった。
それはどこか寂しく…その反面、何かがふっきれるような複雑な気持ちを感じさせられた。



「家具の配置はこのままで良いの?」

「どう思う?使いやすい配置だとは思うけど、ベッドが並んでるってどうだろう?」

「個室じゃないから落ち着かないかな?
でも、言ってみれば寝るだけだからねぇ……
一緒がいやだったら、あんたが私の使ってる部屋を使って、あんたの今の部屋を香織さんに使ってもらえば良いんじゃない?」

「でも、そんなことしたら、お母さんが心配しないかな?」

「心配って?」

「だ、だから……僕と篠宮さんが二階にいたら…ほら……」

なっちゃんはぷっと噴き出して、それからげらげらとお腹を抱えて笑い始めた。



「なんだよ。僕、なにかおかしなこと言った?」

「あ、あんた、一体いくつなのよ!
それに、香織さんだってもうすぐ四十なんだよ。」

なっちゃんは笑い過ぎて目尻に溜まった涙を拭いながら、そう言った。



「母親だったら、娘がいくつになっても、心配するんじゃないの?」

「何もない方が心配するって。
だいたい、あんたら一応は恋人同士なんだし、まったくもう何くだらないこと考えてんのよ!」

なっちゃんに笑い飛ばされ、僕は苦笑いを浮かべて誤魔化すしかなかった。


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