エンビィ 【完】




「イオリはさ、ずるいなぁ」


「終わったことをグチグチ言うな」


「ユキノ、消えちゃったじゃん」


「今更後悔か?」



2人はそこで口許に似たような笑みを浮かべると、絵画に向けて大胆不敵な視線を投げた。




「mon ange―――仰せのままに」


「気色が悪いハル」


「はははっ。確かに俺って“仰せのままに”とか言うキャラじゃないよなー」


「分かってるなら言うな」


「へいへい」


「mon ange…か」


「ん?」


「いや、アイリーンがange malicieuxと言っていたんだ」


「へえ?詳しく聞かせてよ」



イオリが思い返すようにして告げる話に、ハルは笑いが止まらない。

途中からは、げえげえ漏らしながらイオリの話を聞いた。



< 178 / 195 >

この作品をシェア

pagetop