一瞬の、夏。
息を呑むほどの、美少年。
まるで、作りもののような。
すれ違う誰もが振り返るような。
でも、壊れそうな、不思議な人。

「...ねぇ、そこに立たれると、さむい。」

いきなり口を開いたイケメンさんを見て、
はっと我に返る。

「あ、す、すいません!!」

ぴょんと飛び退くとイケメンさんは満足気
に目を細めて、立ち上がった。

「...へ?」

突然のことに阿呆らしい声が漏れる。
驚きすぎて動けないでいると、顎を持ち上げられた。

「...なかなか面白いね。君、名前は?」

これは、世にいう"ナンパ"だろうか。
バカにされてるの?
いや、本気?
いや、バカにされてるとしか...

「おい、ケシ。」

別の人の、声。
これは...

「高見澤先生!?」
高見澤先生は実質この病院、「高見澤総合病院」の御曹司であり、次期院長。実質この病院でNo.2、忙しい...はず。

「ちっ、ケイか...」

イケメンさんは呟くと、

「またな、ちんちくりん」

といって走り去っていった。

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