・約束
「雅也?」

状況がのみ込めていない私に、坪井さんが笑いかけた。

「雅也には、あなたが必要なんだって事がよく分かりました」


「へ?」

「…だからといって、大っぴらに世に出ては困るんです」

「あの…えっと…おっしゃってる意味がよく分からないんですが…」




「あなたと雅也の関係は極秘です」




「…ちょっと待ってください。私達、何にもないですよ?」
慌てる私を、今度は雅也が笑った。



「一緒に仕事を続けるうえで、個人的な付き合いがあるとまずいんだ」

「昔からのお知り合いでも、雅也がどんなに特別視している方でも…です」

「色々と変な噂を立てられるからね」

「…例えば…美央との極秘交際とかです」



「えぇっ? あれはホントじゃないんですか?」


「これだけ厳しい事務所で無理だろ…」

「美央側の戦略で雅也が利用されているんです」
坪井さんは困った顔をしていた。


「…そういう裏事情とかも…あるんですか…大変ですね」


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