・約束
長い沈黙を破ったのは、雅也の大ファンの後輩だった。


「…ショックです。春夏さん…」


「…ごめんなさい」
今の私は、謝る事しかできない。
私のせいで、雅也にはファンも裏切らせていたんだから…



「何で言ってくれなかったんでか…」


「…え?」


「最近の雅也、忙しそうだけど前よりイキイキしていて輝きを増してました。
 プライベートが充実してるんだろうなぁ…ってファンの間でも有名だったんですよ」


「……あの…」


「こんな近くに…私の先輩が雅也を成長させてたなんて、自慢なのに」

「本当のファンなら、最初は複雑だけど雅也が選んだ人なら受け入れます」


「春夏の相手が芸能人…ってのは、ビックリ」

「まぁね。でも、芸能人だって一歩外でりゃ普通のヒトじゃん」

「やだぁ、ホントに知り合いが出来ちゃったよ♪」



「あの…みんな?」



「大丈夫です!私達みんな味方ですよ!
 会社としては、これから大変でしょうけど…何とかなりますって」

「今までの春夏先輩の頑張りを知ってる人は、誰も非難なんてしませんよ!」


「何かあれば、みんなでカバーしますから」



「ありが…とう」
私はみんなに深々と頭を下げ続けた。
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