【完】『道頓堀ディテクティブ』
穆の初会議の日。
進藤補佐官から挨拶を促された穆は、
「あくまでも自分は民間で、ただの一人の協力者ですから」
とのみ言った。
具体的な推察や言及は避けたのである。
むろん。
「あんな探偵ごときに」
という論があるのを知ってのことで、
(どこでどうして、そうなったのやら)
と穆は我が身の置かれた境遇を不思議がるところすらある。
「じゃあ断われば良いじゃないですか」
付き添っていたまりあは、疑問をぶつけてみた。
「下手に断れば、後ろ暗いことがあると言いがかられて疑われるやろ」
協力者として参加して、
「しかし解決まで発言はしない。これが」
賢明な生存策や、と穆は言った。
穆には穆なりの計算が働いていたらしい。
その夜。
穆とまりあは宗右衛門町の静の店に顔を出した。
東郷忠もいる。
「毎日いろんな展開で大変そうやな」
東郷がねぎらった。
「まぁ、ちょっと頼まれただけですからね」
「ところで」
と東郷は画家らしい目線で、
「ムクゲっちゅうのはよく、夏の茶席で飾られるらしいな」
「そうなんですか」
穆は耳を傾けた。
「で、お茶の師範なんぞはよく池田の植木屋とかから、枝を手に入れたりしてるらしいそうや」
「そんなネットワークがあるんですね」
穆はそこまで調べてはいなかったようで、
「ありがとうございます、今度ちょっと調べてみます」
と、ひさびさのキューバリブレを飲み干した。
進藤補佐官から挨拶を促された穆は、
「あくまでも自分は民間で、ただの一人の協力者ですから」
とのみ言った。
具体的な推察や言及は避けたのである。
むろん。
「あんな探偵ごときに」
という論があるのを知ってのことで、
(どこでどうして、そうなったのやら)
と穆は我が身の置かれた境遇を不思議がるところすらある。
「じゃあ断われば良いじゃないですか」
付き添っていたまりあは、疑問をぶつけてみた。
「下手に断れば、後ろ暗いことがあると言いがかられて疑われるやろ」
協力者として参加して、
「しかし解決まで発言はしない。これが」
賢明な生存策や、と穆は言った。
穆には穆なりの計算が働いていたらしい。
その夜。
穆とまりあは宗右衛門町の静の店に顔を出した。
東郷忠もいる。
「毎日いろんな展開で大変そうやな」
東郷がねぎらった。
「まぁ、ちょっと頼まれただけですからね」
「ところで」
と東郷は画家らしい目線で、
「ムクゲっちゅうのはよく、夏の茶席で飾られるらしいな」
「そうなんですか」
穆は耳を傾けた。
「で、お茶の師範なんぞはよく池田の植木屋とかから、枝を手に入れたりしてるらしいそうや」
「そんなネットワークがあるんですね」
穆はそこまで調べてはいなかったようで、
「ありがとうございます、今度ちょっと調べてみます」
と、ひさびさのキューバリブレを飲み干した。