† of Thousand~千の定義
人質よろしく、テーブルの向こう、男の脇に、私の秘密が陳列されている。

パッと見れば、それぞれただのオブジェだろうが……違う。

星座早見盤が組み合わさったようなオブジェも、ガラス玉を抱いている炎のオブジェも、細かな彫刻のされたガラス瓶も、三ツ又の燭台も、アミダくじのような模様の地図も……

すべて、ただのアンティークではない。

「もう、長いのですかな?」

と、男が茶の入った湯飲みを差し出しながら訊ねてきた。

まったくもって不思議なことに、急須はいつのまにか消えていた。

押し出された黄金色の液体を睨んでいると、男が苦笑した。

「毒など入っていませんし、味は保証しますよ」

……そういう、問題ではないのだが……

男はひとり、ずずと茶を啜った。美味そうに、あ~、と溜め息までついている。

私は、

「……もう、五年ほどになる」

先の質問に答え――茶に手をつけた。

たしかに美味い。

爽やかさと渋味が、うまくバランスを保っていた。くせのないがゆえの、素直な喉ごしだ。
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