† of Thousand~千の定義
(私も、1パーセントは乙女なんだな)

そんな自嘲とも自虐ともつかない思いと共に、鍵を差し込み――

「あん?」

違和感に、ぶち当たった。

鍵が、開いている。

「!!」

驚きとともに素早くドアを引いた私に、

「いやぁ、おかえりなさい」

あいさつをしてきた。

二十畳二間、その奥側の部屋――

「待っていましたよ、草薙仁さん」

「お前――だれ」

今朝、出掛けるまでは絶対にいなかった何者かが――

狐のように目を細くして、ニコニコと――

テーブルで茶を飲んでいた。
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