† of Thousand~千の定義
この光は、魔術とは違う。

自分の中に構築されているイメージを、明確にする。

そして、現象を引き起こすための代償を、支払う。

代償は、私の存在。

『罪』をあがなうための、意思で補う。

 ウリエル
「 炎 」

光球が、炎をまとった。

そして直線――私の手から炎の光線がほとばしり――空の炎へ――穴を穿つ。

天を撃ち抜く、一筋の雷火。

勢力と勢力の衝突――それは一瞬の拮抗を見せ、凄惨な爆発を巻き起こす。

空が割れんばかりの轟音が響き、爆風が私へ降り注ぎ、雨粒が吹き飛ぶ。

業火の天井が、噴煙に押し潰され、掻き消えた。その中から、様々な獣を混在させた生物が、弾き出される。

爆音が遠く遠くへ余韻を響かせ、弾き出されたそれは、膜状に圧縮された雨とともに地上へ落着した。

三度目となる、真正面からの対峙。

獅子の頭に山羊の胴と角、爪と蹄を使い分け、灼熱のたてがみを翻す魔族――キマイラ。
< 95 / 117 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop