アキと私〜茜色の約束〜

昨日までは 、普通に皆でご飯を食べてテレビを見て、いつもと変わらない日常を過ごしていたはず。

とてもじゃないけど離婚間近の夫婦には見えなかったのに。


『…お前も、大人になればわかる』


親父はそう言って、目を閉じた。

何が“大人になればわかる”だ…
んなもん、わかりたくもない。


離婚するからどっちと暮らすか選べ?

ふざけんな、ふざけんな、ふざけんな!

選べるわけ、ねぇだろ…


『秋人。もし、お母さんと暮らすなら、ここを出て行って北海道のお婆ちゃんの所に暫く行くことになるわ』


ずっと黙っていた母さんが口を開く。


『北海道…それって、』

『転校することになる』


転校…だと?

頭の中に思い浮かぶのは、茜とアキの笑った顔。

あの二人と、離れる…
皆一人っ子で、三人兄弟のように育ってきたあいつらと、もう会えなくなる…?


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