豹変彼氏~ドラマティックに愛されて~
3
「あと五日で初日なのに、まだ孝志が迷ってる」
三池は腕を組み、眉間に皺を寄せた。
光恵は差し入れのチョコレート(孝志のキットカット)を持って、稽古場へ顔を出すことにした。チョコレートが早くはけるのはここしかないと思ったし、正直孝志のことが気になって、どんな感じか見に来たのだ。
「……どうしたんでしょう」
「さあな、困ってる」
三池は溜息をついた。
「今日は?」
「ゆうみと孝志は、舞台の取材で出てる。もうすぐ帰ってくるけど」
「そうですか」
光恵は自信満々の様子だった孝志を思い出した。
本当はどうなんだろう。
「おはようございます」
扉が音を立てて開き、孝志とゆうみ、それからマネージャーの志賀が入って来た。
きっちり髪をセットし、ドレスアップした二人。
白鳥先生の言葉が頭をよぎる。
『絶対に手の届かない人よ。自分が惨めにもなるし』
かつて、そして今も、親密な関係にあるんだろうか。
「好きだ」と告白されても、光恵は今、不安で、惨めだ。
あんな二人を見たくない。