豹変彼氏~ドラマティックに愛されて~


わたしのせい?


光恵は三池にどういうことか訊ねようとしたが、三池はすでに他の役者と違う話をしようと、光恵に背を向けていた。


どういうこと?
わたしのせいって。


「皆川さん」
そこで後ろから声をかけられた。振り向くと志賀がにこやかな笑顔を浮かべて立っている。


「今、少しお話できますか?」
笑顔だけれど、有無を言わさない強制力と威圧感。光恵はこくんと頷いた。



皆川に連れられて、稽古場近くの喫茶店までわざわざ出て来た。これだけ遠くに出てくるということは、よほど誰にも聞かれたくない話なのだろう。光恵は緊張でお腹が痛くなってきた。


昔ながらの喫茶店。クラシック音楽が流れ、コペンハーゲンのカップに、香り高いブラックコーヒー。


志賀は上品な手つきで、砂糖とミルクを入れ、ゆっくりとかき回す。それからカップに口をつけ、光恵の目を真正面から見据えた。


「佐田が舞台に帰りたいと言ったときから、とても心配していました」
「……なぜですか?」
「お分かりになっていると思いましたが」


志賀は笑みを浮かべる。正直、光恵は怖くてたまらなかった。


< 204 / 261 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop