豹変彼氏~ドラマティックに愛されて~


三池は笑顔で「おかえり」と孝志の肩を叩く。


孝志はうれしそうな笑顔を見せると、役者席に座った。ゆうみも続いて隣に座る。マネージャーの志賀は、後部のスタッフ席に静かに座り、二人を見守るようだ。


「じゃあ、始めます」
光恵の隣で、三池が口を開いた。


「今日から新しい舞台が始まります。今回のためにミツが書き下ろしました。面白い舞台になると思う。みんなの力をあわせて、いい仕事をしよう」


三池がそういうと、孝志は顔をあげ、光恵の顔を見た。ちょっと微笑み、視線をそらす。
光恵はそれだけで、どういう訳か胸が痛い。


本当に、どうしたんだろう、わたし。


光恵は動揺を隠すように、手元の台本に目を落とした。


「台本は読んできてもらってると思う。今日は本読みを何度かして、明日から本格的な稽古に入って行こう」
三池はそういって、台本を出すように、役者達に指示をした。


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