アメット

 そして、クローリアのように解くのに苦労していた。

 シオンの話が信じられなかったのだろう、クローリアは「今、科学者の地位にいるので、昔から頭が良かったのではないか」と、質問する。

 それに対しシオンは頭を振ると、懸命に勉強し続けた結果が今に繋がっているという。

「だから、クローリアも……」

「頭が良くなるでしょうか」

「頑張れば」

「が、頑張ります」

 シオンの言葉が励みとなったのか、クローリアの表情が一気に明るくなる。

 勉強に興味を持っていたというのは正しいことで、クローリアは画面に視線を合わすと、次の問題を解きだす。

 この問題は瞬時に回答を導き出すことができたのだろう、回答欄に数字を入力する。

 彼女が必死に勉強している姿にシオンは口許を緩めると「何があったら、また聞くといい」と言い残しキッチンへ向かうと、冷蔵庫の中から使える食材を取出し、調理を開始した。


◇◆◇◆◇◆


 食事後――

 シオンは使用していた食器を片付けると、アイザックに例の件について尋ねる為に電話をする。

「……俺」

『急に、どうした?』

「アドバイスが欲しい」

『僕で、答えられることなら』

「アンバード家が主催するパーティーに参加することになって、それにクローリアを連れて行くことになった」

『大丈夫なのか?』

「それについては、父さんの了承も得ているから問題ない。ただ、彼女に何と話すべきか……」

『まだ、言ってなかったよな』

「しかし、もう……」

 こうなったら、きちんと面と向かって言わないといけないと、アイザックはアドバイスする。

 そのアドバイスにシオンは「大丈夫かな」と不安視するが、頭のいい子ならきちんと理解してくれるのではないかと言い、後押しする。


 彼からの発言にシオンはクスっと笑うと「そうだね」と、呟く。

< 208 / 298 >

この作品をシェア

pagetop