依存症人生1

拉致事件

あっちゃんと付き合って
半年ぐらいが過ぎた頃…

人生の中でも、忘れられない
あの事件が起こった。


その日、私たちは喧嘩して
「もう、別れる!」
ってバイバイしたんだ。

次の日は期末テストで…
夜中の12時過ぎに勉強してたら
自宅電話がなったんだ。

あっちゃんからに決まってる。

昼間の別れ話の撤回だと思ってた。

『ちょっとで良いから、家の前
出てきて。すぐ済むから。』

「分かった。」

着の身着のままで鍵もかけず
やっと持った携帯も置いたまま

家の前に立ってたんだ。

すぐにとまった知らない車から
知らない人が降りてきて…

『ちょっと乗って!』って、
車のなかに押し込まれた。

隣には、あっちゃんがいて…
様子がおかしい。

説明によると、あっちゃんが
ヤバい先輩たちにボコボコに
やられて、百万請求されている…

私は、あっちゃんの彼女として

あっちゃんが逃げないように
百万円の人質に拉致されたのだ。

あっちゃんは、遠くの海で車から
降ろされた。自力で帰れと。

私は、他県まで車で連れ去られた。

テストとか
ヨリを戻すかとか

それどころでは、なくなった。

足元には凶器が転がっていて

強面3人に囲まれて…

知らない土地の知らないマンションに
連れていかれた。

出された食事は喉を通らなかったが、
『食べろ』と怒鳴られて…
味なんて分からなかったんだ。

あっちゃんが百万持ってこなければ
私を売り飛ばす、とか、

警察に言ったら殺すとか…

あっちゃんが来ても捕まえて
金融巡りさせて借金漬けにするとか…

とても怖くて、不安で泣いたら
『ピーピー泣くな!』と脅されて。

気が気じゃなかった。

別れた私を助けに、
あっちゃんは、来るだろうか…

お金はどうするんだろうか…

お母さんには言ってくれただろうか…

逃げれないよう、
手錠で繋がれたりもして…

とにかく明日までが長くて…

怖くて狂いそうな…
ドラマみたいな夜だった。
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