依存症人生1

さよなら、恋心

「トイレに行っても、良いですか?」

彼がうつ向いて、そう言ったので

私は一言…「良いよ。」と答えた。

彼は、ゆっくり立ち上がり、
トイレに向かったと思いきや…

トイレを通りすぎ、猛ダッシュ!

靴も履かず、玄関から飛び出した。

不意をつかれたが、私たちも

とりあえず、追いかけた。

二階の階段の踊り場から
彼は裸足でジャンプして…

そのまま、雨の中へ消え去った…。

一瞬の出来事に、ただただ驚いた。

数秒後、彼は逃げたのだと…
逃げるほど追い詰められていたのだと
私たちは、悟った。

後日の噂で、彼が、新幹線で
数時間もかかる、遠く遠くまで
逃げた…とんだのだと聞いた。

彼の母親が、謝りに来た。

私は事情を説明して…
とりあえず、あっても仕方ない
彼の靴を、持って帰ってもらった。

そして、もう何もしないから、
好きに帰ってくれば?と、
彼の友人何人かに、ふれ回った。

どう伝わって、その後、彼が
どうしたのかは…私も知らない。
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