~天使ロード~
「池治先生、どうしてそんなことを言うんですか?」


「あ、すまん
美桜のお父さんがいかにも言いそうな言葉だったから」


なるほど!そうだよね…

そして池治先生はたそがれるように、また手すりに掴まって風を感じている。


少し肌寒く感じる風が、す~っと私達の前を突き抜け、髪の毛を靡かせてはまた消えていった。


池治先生の前髪が風が吹いているのにもかかわらず、寝癖みたいにふにゃっとしていないのが羨ましい。


私は自分の髪の毛を手櫛で整えながら
こう訊ねた。


「池治先生、たそがれてるんですか?」


「違うよ!街の景色を見てるんだ
賑やかだろ?平日にも関わらずな

あぁー、遊びに行きたい」


私が街を見下ろすと、確かに車の行き来が多く見える。
コンビニの駐車場に停車している車とか…
信号待ちをしている車など。


「確かに、車の走行が多いですね!

誰か友達と行ったらどうですか?」


「ふっ、友達ね」



池治先生は、ふんと鼻を鳴らすと一人で苦笑いしていた。






友達がいないのか、或いは億劫とか…?
< 105 / 293 >

この作品をシェア

pagetop