声を聞くたび、好きになる
そんなモヤモヤした気持ちに支配されそうな時は、自室のパソコンに向かってオークションに出品するためのイラストをひたすら描いた。
こうしていると、イライラや不安もスッと消えていくから。
三日おきくらいにイラストを描きため、後は、録画したアニメをまったり見る。
ニートの代表格みたいな私は、時に卑屈にもなった。こんなダラダラしている私が頑張って夢を叶えた流星に恋をする資格はないかもって。
この生活を変える気なんてないのに、ううん、変える気がないからこそ、輝かしい毎日を送る流星に片想いするのは辞めようと思う日もあった。
でも、そんな決心は彼に会うと鈍ってしまう。
「イラスト描いてるの?」
「流星……!」
夢中になって描いていた私の背中に、聞きたかった声が届く。
彼は、三年くらい前から私の家の合鍵を持っていて、こうして頻繁に顔を出してくれる。色々あってうちの親はほとんど家に帰ってこないから、幼なじみのお兄さんとしては心配せずにいられないらしい。
「おかえり!今夜は収録で遅くなるんじゃなかった?」
「早く終わったから、来た」
流星は昔と変わらない感じで優しく笑い、
「差し入れ。一緒に食べよ」
コンビニの袋を目の前にかざした。私の好きなアロエヨーグルトだ。
嬉しい。嬉しいよ。