あと、11分
「ねえ、スイ言ったよね。私」
夕雨が一歩前に出る。俺もつられて一歩後ろに下がりそうになるのをこらえた。これ以上、彼女から逃げるのはきっと神様だって許してくれない。
「幽霊なんていないって」
知ってる、そんなの分かってる。
「昨日スイが誰と一緒にいたのか知らないけど」
止めて。
これ以上、言わないで。
俺から、シキを奪わないで。
「───シキなんて人、いない。
スイがどんなに必死に探したって、スイがどんなに必死に呼びかけたって答えてくれない」