あと、11分
そうだ、シキは言った。そう、言った。
あれ?
じゃあ、なんで。
なんで、夕雨は。
───シキが、女だって、分かったんだ?
俺は、シキが女なんて一言も、言っていないのに。シキって名前を聞いて何で、男かもしれないと思わない?
ぐらりと視界が歪んだ気がした。どうして、どうして。
いまだに俺の名前を呼び続ける彼女の肩を、掴んだ。
訴え続けていた彼女はゆっくりと顔を上げる。その瞳は長らく見たことのない、涙でぬれていることに、俺は気づく余裕すらなかった。