あと、11分
「……シキに、弟っている?」
「おとうと?」
言いなれない感じで、シキが言う。そして考えるように視線を上にあげてしばらくした後、
「わたしは、9年前以降の記憶は」
そう言って頭を横に振った。
香澄が弟であったとしたら、もしかすると俺に協力してくれるかもしれない。そうとなれば、いてもたってもいられなくなる。
「行こう、シキ」
俺は彼女の細い腕をつかんで、言った。
「香澄に逢いに行こう」