あと、11分
でも、実感は湧かなかった。
実際に俺はシキを視れるし、シキに触れれる。
(……アイツに比べたら、俺は随分幸せなほうなのかな)
幸せを図ることなんて、出来るわけないか。
小さくため息をついた、そのとき。
「───スイ」
シキが、俺の名前を呼ぶ。
飲もうと口へ運びかけていたコーヒーを止めて、俺はしゃがみ込むシキを見下ろした。
「わたし、思い出した」
「……全部?」
俺がそういうと、シキは一瞬ためらうように両手に握ったミルクセーキに力を込めて、抜いて、首を振る。