あと、11分
「……スイ」
───避けられると、思っていた。意地でも彼に思いを伝えて、シキの存在を、シキに伝えられることがあるなら、伝えてほしかった。
けれどその予測は大きく外れる。
その声はシキと似た、透き通る声だった。
ゆっくり顔を上げる。真剣なまなざしで、俺のほうへやってくるそいつ。
「……香澄、くん」
隣でぽつっと、シキがつぶやく。
そう、俺に話しかけてきたのは、まぎれもないシキの弟、香澄だったのだから。