戦乙女と紅~東方同盟の章~
誠実に、裏表なく心情を語ったつもりだ。

その言葉に。

「ふ…はははははっ!」

まず一人の王が。

つられて他の王達も笑った。

「全く…ここまで明け透けだとかえって清々しい」

「腹の探り合いをしていた自分が馬鹿馬鹿しくなる」

口々に呟く王達。

「女神国を勃興したという戦乙女は、どうやら我々が噂で知っているのとは少々違うらしいな」

「うむ、どれだけ凛々しく勇敢で知略に富んだ女性かと思っていたが」

王達は私の顔を見た。

「まるで純真な幼子のようだ」

そう言って彼らは笑う。

つられて背後の紅も笑っていた。

「な、何が可笑しい?」

私一人が、笑われている理由に気づかない。

「つまり」

紅が苦笑いした。

「少しは駆け引きというものを覚えろという事だ」

「む…」

思わず顔を赤くして、私は唇を噛んだ。

まるで私一人道化のようではないか…。

だが、その道化ぶりは決して無駄ではなかったようだ。

王達は皆、目の前の同盟を受け入れる書類に調印してくれる。

これで、東方同盟が成立…。

「茶番だな」

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