戦乙女と紅~東方同盟の章~
そろそろ小塔の最上階に到達する頃だ。

俺は壁に張り付いて、死角から通路の先の様子を見る。

…突き当たりに鉄扉で閉ざされた部屋。

部屋の前には一人の兵士。

ほぼ間違いない。

あそこに乙女が幽閉されている筈だ。

部屋までは直線の通路。

身を隠す場所はない。

乙女を助け出すには、あの見張りの兵士を何とかしなければならないが…。

不意打ちは狙えそうにない。

「真っ向勝負か」

俺は身を隠すのをやめ、通路の正面に身を晒した。

「むっ!?」

見張りの兵士が俺に気づく。

仲間を呼ばれると面倒だ。

俺は一気に間合いを詰める。

疾風、旋風と呼ばれる俺の本領発揮だ。

瞬く程度の間に兵士の目の前へと迫った俺は、槍の石突で兵士の腹を突き、気絶させようとして。

「!!」

攻撃を防がれた事に驚いた。

「何を驚く事がある」

兵士はニヤリと笑った。

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