戦乙女と紅~東方同盟の章~
私の眉間に振り下ろされる刃。

だがその寸前で。

「!!」

紅の魔槍が、獅子王の剣を止めた。

「これで決定的だな、獅子王。貴様は死罪だ」

「ほざくな!!」

ギリギリと刃の音を立てながら、獅子王は吼える。

「このような小娘に負けたなどと、俺は認めぬ。この軍勢の中で逃げおおせる事など不可能だが…せめて、せめて俺をこのような無様な状況に追い込んだ乙女だけでも!!」

「反省の色なしか」

紅は槍の払いで獅子王を押し返した。

「くっ…私に剣を!」

私は近くにいた兵士に言うが。

「乙女」

紅は私の頭をポンと叩いた。

「お前は既にお前の戦いを終えたのだ。ゆっくり休んでいろ」

彼はビュンと槍を振る。

戦いに臨む時の、彼の癖だ。

「獅子王は俺がこの手で断罪する。手を汚すのは、俺が引き受けてやる」







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